汚れのもう一つの側面、不衛生だということ

美観や色彩の観点では汚れは「付着してしまった不都合な色」ということは前章で述べました。そして、汚れのコンセンサスとして「不衛生」というものがあります。衣服に付いた汗による汚れや油などの汚れは放っておくと、間違いなく最近が増殖し、不衛生になります。食器などに付着してしまう食べ物による汚れも同様で、放置すれば細菌やカビの温床になります。お部屋などでのゴミが散乱したり、埃が溜まっていたりすると、ゴミの種類にもよりますがダニの格好な住処です。ゴミの種類によっては害獣や害虫を寄せ付けます。余談ですが、ジュースなどの甘い飲み物を放置するとハチなどが寄ってきますので、危険です。

汚れた服 汚い部屋

ここまで見て、何かを感じないでしょうか。前述の例のほとんどが「現在は平気だが、このままだと未来は細菌などが発生する、害獣や害虫が寄ってきて何かと不都合になる」ということです。これまでの経験則や情報で未来のことを予測して判断しているのです。これは人間にしかできないことであり、コンセンサスの元になっているものではないでしょうか。

 

ある種の埃はアレルギーの元となりますし、喘息を起こすカビにはさまざまなものがあります。ダニもハウスシック症候群の原因の一つとして知られています。ある種の汚れはウィルスを増殖させるかも知れません。本来の泥や土は岩石が砕かれて粉末状になったものですから、無機物で無菌ですが、水分やその他の不純物が含まれるため、細菌や虫が必ずと言っていいほど存在します。

 

現在の日本では環境が衛生的過ぎて、菌やウィルスに対する抵抗力が落ちていると言われていますが、それでも清潔にしておいて間違いはありません。また、今まで人に対して無害だったウィルスが変異して突如、病気をもたらすことも現在では知られています。お住まいやその周りを綺麗にしておいて損はないのです。